VHSと子供の頃の怖かったウルトラマンの思い出
レンタルビデオという言葉も、もはや死語だ。
ツタヤにもゲオにも、DVDはあれどVHSの棚は無い。
今の子供は、ビデオデッキにテープが絡まった時の絶望を知らないのだろう。
どういう原理かわからない、効果があるのかもわからないクリーナー用のテープがあったことを知らないのだろう。
僕が子供の頃は、子供向け特撮ヒーローが割と下火だった。
ウルトラマンも仮面ライダーも昭和の終わり頃に一旦休止になり、しばらく作られなかった。
そんな中で、なぜか親が買ってきたウルトラマンのVHSを見ていた。
ウルトラマングレート。この作品、ウルトラマンの中でもかなりマイナーだ。
なぜなら、日本では未放送でVHSでしか見れなかったから。
外国で作られて演者は全員外国人、撮影場所もオーストラリア。
ナレーションと吹き替えで日本向けにして売っていた。
主人公の名前はジャックだった。それを幼稚園の頃から繰り返しずっと見ていた。
そのグレートが、なぜか怖かった。
その事にちゃんと気付くのは、後から日本のウルトラマンを知ってからだったけど。
まず、基本的に画面が暗い。そして、怪獣にポップさがなくて大きい。
日本のウルトラマンは、怪獣とウルトラマンはほぼ同じサイズである。
当たり前だ。所詮着ぐるみなんだから、格闘時にそっちの方が都合がいい。
グレートの場合は、怪獣はウルトラマンより明らかに大きかった。
また、変にリアルで気持ち悪い。タコみたいな親玉は、今でもたまに夢に出てくる。
変に最初にそれに慣らされたせいで、その後に見た復活した日本のウルトラマンは、清潔・安全に思えた。
そこには、得体の知れない恐怖は特になかった。