あえてR-1の「芸歴10年以内制限」を擁護してみる&R-1の感想
R-1グランプリ2022を見た。
内容で語りたいことが無いわけではないけど、それは後にする。
まずは去年から出来た、「R-1の芸歴10年以内制限」について言いたい。
この制限、いわゆるお笑い界隈の人の話を聞くと、そんなに良い印象を受けない。
と言うか、ぶっちゃけ不評だ。
まあ、当たり前だろうと思う。
お笑い好きの視聴者からすれば、どう考えてもレベルは下がるし、面白くなくなる。
芸人の中でも、芸歴10年以上の実力者を締め出すことになるので、表立って文句を言う事は無いが、内心面白くはないだろう。
芸歴10年以内の芸人も、内心はどうか知らないが、表立って「やったぜ!」って言うやつはいないだろう。
つまり、歓迎されなくて当たり前だ。
だけど、ここで考えてみたいのは、そういう事じゃない。
この制限が「お笑い界にとって、いい事なのか悪い事なのか」ということだ。
たぶん、主催者つまりテレビ局は、そんなことは考えていないだろう。
「毎年、同じ面子が決勝残るのは嫌」とか「ラストイヤーの芸人の涙を見たい」とか、そういうことで作ったのだろう。
それはいいとして、「その結果がどうなるか」ということだ。
まず、前提として僕が常々思っていることは、「今のお笑い賞レースはレベルが高い」ということだ。
これは、当然のことながら、M-1とキングオブコントのことだ。
M-1は芸歴15年制限だが組み直せばリセット、キングオブコントは芸歴の制限が無い。
その結果として、もの凄く面白い。
それは、賞レースの決勝は「才能のあるやつ」が、「長年の努力」をして、初めてたどり着ける可能性のある場所になっていることを意味する。
それは当然だけど、それだけでいいのか。
「別に自分の事をそこまで面白いと思ってないけど、これくらいなら出来そうだから、ちょっとやってみよう」と思わせることも、重要なんじゃないかな。
だって、それこそが将来的に、お笑いのレベルを引き上げることになるから。
プレイヤーの数が多ければ多いほど、その中で勝ち上がったやつの質も上がる。
「芸歴0年目未満の、まだ始めてもいない素人」からしたら、お笑いに対する敷居は、低い方がいい。
そういう意味では、R-1っていうのは芸人志望者に、1番可能性の感じさせられる大会なんじゃないかと思うんです。
だって、今出ているどんな面白いピン芸人も、10年後には絶対出ていないんですよ?
今これを読んでいる人の中にも、「自分でも10年間めちゃめちゃ頑張ってピン芸を磨けば、R-1ならもしかしたら決勝行けるんじゃね?」と思っている人はいるはず。
それが叶うかどうかは別にしてね。
というわけで、僕はどっちかというと、芸歴10年以内制限は続けて行って欲しいと思う。
話が長くなってしまった。
感想として、「お見送り芸人しんいち」のネタで、思ったことを言いたい。
「解散する芸人のツイート」とか「脱力タイムズの亮さん」みたいな、割と芸人ネタが多い印象だった。
それ自体がどうという事ではないが、たぶん若手芸人ライブでは、すごくウケるんだろうなあと思った。
何でかっていうと、そういうところまで見に来る客は、ほぼ例外なくお笑いオタクだから。
逆に細かい芸人あるあるみたいなものも、知ってて当たり前だ。
だから、審査員も面白いと思ったのだろう。
だけど、「たまたまテレビでやってたから見た、特別にお笑いが好きでもない視聴者」は、どう思ったのだろう。
意外とみんな笑ってるのかな。
どうなんだろう。
まあ、僕もお笑いオタクだから、面白いとは思ったんだけれど。