「お笑い論を語るべきか」と「お笑いブームは終わるのか」について
マニアというのは、論を語りたがるものだ。
「プロレスが衰退したように、お笑いも論を語るようになったことで破滅の危機だ」
ケンコバが、この前言っていた事だ。
僕はプロレスの事は正直全く知らないが、そうだったのだろう。
「裏では、こういう意図を持ってやっています」と言われて、素直にプロレスを楽しめるやつは、そういないだろう。
プロレスというのは、あくまで格闘技のテイであるのだから、両者とも形の上では真剣に勝ちを求めに行く姿勢は見せなければいけない。
そうじゃないんだったら、ベルトにも何の意味も無くなってしまう。
それと「お笑い」は、絶対的に違う。
お笑いというのはあくまで「笑わせるためにやるもの」であって、「真剣に議論したりするもの」ではない。
漫才で、「俺、警察官になりたいから泥棒やって」と言うのを、真に受ける客なんていないだろう。
「警察官になりたいなんて言ってるけど、結局ふざけてる。嘘じゃないか」なんてキレてるやつは、絶望的にお笑いの見方がズレている。
芸人が舞台上で言う事なんて、全てが嘘の可能性があるということを、客は知っている。
その上で、面白ければ嘘でも本当でもどっちでもいいのだ。
いくらレベルの高いお笑い論が語られたところで、面白ければ人は理屈なんて関係なく笑う。
というわけで、お笑い論がどれだけ語られたところで、当分はお笑いが破滅することもなければ、つまらなくなることもないだろう。
それに、今の地味なお笑いブームは、まだ終わりそうにはない。
地上波でも、未だにネタ番組はいくつもある。
M-1が無かった時期の空白期間に比べれば、全然いい。
第七世代ブームが落ち着いても、逆にその上の世代が出ている。
どのバラエティ番組も芸人が出ている。
ただ、世間がお笑いを求めているというのは、そこまでいい事ではないかもしれない。
お笑いというのは、あくまで一時の癒しだ。
リアルな現実が報われない時代だからこそ、人はお笑いを求めるのだと思う。
だからこそ、価値があると言えるのかもしれないが。